

ボビーとのお別れ
ボビーとのお別れのときが近づいていました。
だんだんやせて元気がなくなっていき、医者に見せても有効な手を打てませんでした。
ボビーの最後の日は、いつものように家の中で、お手伝いのおばさんと、母の帰りを待っていました。
ボビーは母の車の音を聞き分けて、庭に迎えに出るのが常でした。
でも、その日は車の音を聞いて、一生懸命立ち上がろうとするのだけれども、もう立ち上がれない。
母が家の中に入ってくるときには、息絶えていました。
母とお手伝いのおばさんは、ボビーを前にしてしばらく泣いていたそうです。
そのときのことを私は電話口で泣いている母から聞きました。
母はボビーにあげていたご飯が悪かったのではないか、と後々まで気にしていました。
私は、そんなことはない、ボビーは幸せな一生だった、と何回も説得しましたが、それは私の本心からの気持ちでした。
母は犬の権威の平岩米吉さんのところまで出かけていって、話をしたり、獣医に死因を教えてくれと詰め寄ったり、ボビーの死を受け入れるまでに長い時間がかかりました。
それ以来、実家で犬を飼うことはありませんでした。(猫は何回か飼いましたが)
もう30年近く経ちますが、玄関には、最近まで、ボビーの大きな写真が飾られていました。
いまでもボビーが毎日駆け回っていた実家の庭に、ボビーは眠っています。
ボビー、たくさんの思い出をありがとう!