2月 19, 2013 -
本
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エンデの遺言
「ミヒャエル・エンデが逝ってわずか二年後、世界は新興国めざして襲いかかる、すさまじい『マネーの暴力』を目の当たりにした。
一九九七年五月からの二ヶ月間、国際投機集団ヘッジファンドとアジアの国の間でくり広げられた通貨攻防戦の最終の勝利者は、国家ではなくマネーであった。敗れたのはタイであり、それにつづくアジアの国々であり、韓国であり、危機はさらにロシアからラテンアメリカに及んだ。
のちに『血塗れのバーツ』と呼ばれるに至る通貨戦争の過ぎさった後、勤勉な国民の永年の蓄積と日々の営為の場は打ち砕かれた。
世界をおおう金融システムとその上に乗って自己増殖しながら疾駆する『貨幣』は、人間労働の成果と自然を含む価値高い資源を、貧しい国から富める国へと移す道具となっている。
本来の役割を変えた貨幣は『利が利を生むことをもって至上とするマネー』となった。この変質する貨幣の全体が『エンデの遺言』に凝縮されている。エンデは予言している。
『今日のシステムの犠牲者は、第三世界の人びとと自然にほかなりません。このシステムが自ら機能するために、今後もそれらの人びとと自然は搾取されつづけるでしょう。』」
内橋克人さんの、こんな衝撃的な出だしで始まる本書は、NHKの番組から出来上がったものである。エンデ自身のインタビューからの引用は少ないが、その本質と背景を分かりやすく解説する。
ニューヨークのデモを、そんなことをする時間があったら、就職活動しろとか、彼らは底辺の仕事をしていればいいと言う人は、ことの本質を分かっていない。
あなた方の報酬の源泉は何か?なぜそうなっているのか、それは偶然なのか必然なのか?